D to P with Nという用語を聞いたことはあるでしょうか。これは、”Doctor to Patient with Nurse”の略で、患者の自宅に訪問中の看護師が、医師の指示で治療行為などを行うことを意味しています。
現場の流れとしては、慢性疾患で自宅療養中の人や経過観察が必要な人に対し、看護師が訪問看護を行っているタイミングで、医師とオンラインツールで接続し、オンライン診療を行うことになります。そして、オンライン診療中に、新たな症状が確認された場合、その場で血液検査などを行うよう医師が看護師に指示することになります。医師は病院に留まったまま、訪問看護を受ける患者の診療をすることができるため、病院と患者の居住地が遠い場合や時間的に医師の訪問が難しい場合に大変便利です。
オンライン診療は、ネットに抵抗がない若い世代を中心に認知度が広がっています。しかしながら、オンラインツールに馴染みがない世代には、利用が難しいと言われています。ただテレビ通話をするだけではなく、スケジュール調整やオンラインツールの設定など、様々な準備が必要になるからです。そこで、患者の自宅に向かう訪問看護師が補佐をすることで、医師とオンライン上で会話をすることを可能にしています。
患者の中には、オンライン診療自体に疑念を抱く人もいるかもしれません。また、患者本人だけでなく、家族がよく理解していないケースもあります。そのような場合、看護師がしっかりと説明し、納得を得ることが必要になってきます。
医師不足が懸念されている今、移動距離・時間の壁を超えることができるオンライン診療はさらに拡大していくことが予想されます。それに伴い、訪問看護の現場でD to P with Nの導入も進み、対応していく看護師も増えていくでしょう。こうした医療の今後の流れをしっかりキャッチしたい看護師の方は、オンライン診療の実情を把握しておいた方が良いでしょう。